皆さんは家庭用のボイラーをご存じでしょうか?最近はガス給湯器が普及しているため耳にしたことがない方もいるかもしれません。ボイラーは家庭用でも点検が責務なんですが、怠ると地域一帯に響くほどの異常な爆発音と機械音を発することがあります。今回は5年間、ボイラー(石油給湯器)による騒音に苦しんだAさんが、その壮絶な体験を語ってくれます。
目の前からヘリが飛ぶ音がする
静かで落ち着いた場所だったことが決め手になり、関西圏の一戸建てに転居した私たち夫婦の期待がわずか1週間で打ち砕かれました。ある日を境に、近くのCさん宅から「ドカンッ!」という爆発音が響いた後「ゴォォォ」という機械音が鳴るようになったのです。最初は「工事でもしているのかな?」と思っていたのですが、時間を問わず毎日その音は鳴り続けることで私たちは睡眠を奪われることになります。「ドカンッ!」の音で夜中に飛び起き、心臓がバクバクと鳴る。安らぐはずの我が家が、恐怖と緊張の場になってしまいました。
音の相談は警察に理解してもらえない
そんな折、私たちの隣にBさんが引っ越してきました。Bさんもまた、夜中の爆発音に恐怖を感じて警察へ相談したらしいのですが、警察は「音は鳴っていない」と一蹴。それでも「爆発音が何かわからないから確認してほしい」と何度も相談したものの、「騒音で何回も連絡してくるな、何もできない」と調べてもさえもらえなかったのです。Bさんは「騒音」や「うるさい」など一度も言っておらず「いつ爆発するか分からない」という恐怖を訴えただけなのに、と涙を流しておられました。
騒音は身体を病み幻聴を誘発する
私はこの状況に心身をすり減らし、ついに3日以上眠れない日が続くほどに。耳鳴りが24時間なり続けて幻聴が聞こえるほど精神的にも限界を迎え、とうとう入院することになりました。眠れない、休めない、安心できない。自宅が安らぎの場でなくなることが、どれほど辛いことか。病室で天井を見つめながら「なぜ私がこんな目に…」と涙を流しました。

警察への相談が逆効果になることも
退院後、できる限りの対策を講じました。防音カーテン、防音フェンス…しかし、爆発音と機械音は軽減されませんでした。自治体へ相談しても、すぐには動いてもらえず、今度は私が警察に直接足を運びました。ようやく警察が音の発生源を特定しCさん宅のボイラーだとわかったんですが、さらにここから苦難が続きます。なんと警察がCさん宅へ勝手に苦情の手紙を投函したため、激怒したCさんは、今まで以上に爆発音と機械音を鳴らし、騒音はさらに悪化。後に自治体の職員さんからは「65dBに達していたのによく我慢できましたね」と言われるほどでした。
協力してくれる自治体もある
それからは日常生活が完全に破壊されました。爆発音がいつ鳴るか分からない恐怖。もはや心休まる瞬間は一切ありませんでした。耐え兼ねたBさんが引っ越しをした数か月後、自治体の協力の元に点検業者がCさん宅のボイラーを調査したことで予想以上に恐ろしい事実が判明しました。「不完全燃焼を起こしており、いつ爆発しても仕方がない状態」だったのです。この結果を聞いたとき、血の気が引きました。
家庭用ボイラーの点検は義務じゃない
しかし、Cさんは自治体からのメンテナンスの助言を無視。ここから地域住民による半年間の交渉を経てCさんがメンテナンスを依頼してくれたことで、ようやく爆発音と機械音が止まったんです。この5年間を振り返ると、「空を飛ぶヘリコプターがすべての部屋で飛び回る音と振動、災害に巻き込まれても逃げ場がない恐怖で生きた心地がしない」地獄の日々でした。協力してくれた皆さんには本当に感謝しかありません。ありがとうございました。。。
今回のポイント
工場や病院などで使用するボイラーは点検が義務付けられていますが、一般家庭で使うボイラーに点検の義務はありません(もちろん責務ではあります)。そのため100dbを超える音でも警察や自治体は直接的な介入はしてくれないことも。調査をしても「音を出しているお宅」や「発生源」の情報は教えてくれなっかったりもして、結局何もできずに終わることも多いのです。対応を間違えて火に油を注ぐことになるくらいなら、最初から司法書士や弁護士などの専門家に相談することも検討すべきだと思います。