築40年以上の古い団地に住むAさん。昔からの住人とは距離感も程よい関係で、団地内でのトラブルも少なく落ち着いた環境でした。そこに、若い夫婦が引っ越してきたことで、最終的にAさんは団地を出ることに。今回は、共用部分のベランダを自身勝手に使うとどんな迷惑を及ぼすか、Aさんの体験を交えて紹介します。
団地のベランダはリビングの延長ではない
2020年春に隣へ引っ越してきたBさん夫婦。生活スタイルが少し変わっているようで、平日は19時から夜中の0時頃まで、土日は朝から夜中までベランダで食事をしたりお茶を飲んでくつろいでいるようでした。食事は焼き肉が多いのか「今日の豚は美味しくない」「鶏肉は思ったよりも柔らかい」などの会話が、テレビの音が聞こえないほど大きな声でいつも聞こえていました。
洗濯物から漂う焼肉臭
団地のベランダは決して広くありせん。我が家にも焼き肉の煙やにおいが漂ってくるんです。洗濯物に焼き肉のにおいが染みつくので天気がどんなに良くても外に干せない、部屋の中にまで入ってくる煙から窓を開けることもできない、夏場は特に地獄です。今までは窓から入る夜風だけで過ごせましたが、エアコンを頼るしかなくなり体調を崩すことも増えました。
直接の接触は逆効果になる
楽しみにしていたテレビ番組の音が聞き取れない。夫がベランダ越しにBさん夫婦に声をかけたんです。「すみません、ここでは火を使うのは危険ですし、禁止されているはずです。それに煙やにおいがうちにも入ってくるし、大声も迷惑なので毎日はやめてもらえませんか?」その場では「すみません」と答えるBさんの夫でしたが、ベランダ越しにお願いしたことがどうも不快だったようです。夫が窓を閉めた後「うちのベランダで何しようが自由だろうが」とBさんの声が聞こえてきたんです。その後も焼き肉をやめる様子はありませんでした。
管理会社に伝えても無駄
それ以降も変わらずベランダで焼き肉を続けるBさんの態度に我慢の限界を迎えた私たちは管理会社に相談したのですが「掲示板に注意の張り紙をしておきます」と一言。いつまで経っても張り紙がされることもなく、Bさん夫婦に対して苦情を伝えることもなかったようでした。それどころかまるで自分たちがクレーマーであるかのような扱いをされるようになったんです。

実態がわかりにくい賃貸管理会社
Bさんの苦情を訴える他の住民の声にも対応しない管理会社。2018年に変わった新しい管理会社の評価をインターネットで調べてみると驚くほど悪評が多かったんです。口コミには「対応がずさん」「問題が起きても何もしない」「クレームを入れると逆に入居者が悪者扱いされる」そんな内容が並んでいました。管理会社は期待できないと悟り、他の解決方法を求めてネットで情報を集めることに。
安い家賃には理由がある
地域の情報を調べる中で団地の家賃が周辺の相場よりもかなり安いことに気付きます。また、最近は相場よりも安すぎる集合住宅でトラブルが多いことを知った私は、ここに住み続ける限り同じような問題が繰り返される可能性が高いと考えて引っ越しを決意しました。転居先は、何度も仲介会社を訪れて管理が行き届いたマンションを紹介してもらえたことで、今では昔のように洗濯物を外に干せるようになりました。
ベランダの焼き肉は皆が迷惑
数年後に、他の住民が迷惑行為を撮影した動画を自治会を通じて管理会社へ突きつけられたことでBさん夫婦が引っ越しと団地の知人から聞きました。Bさんは次の住まいでもベランダで迷惑行為を繰り返すんだろうな。管理会社が自分のことのように対応してくれていれば住み続けることができたのにと思う一方、管理会社が変わる際に何も考えなかった自分たちも悪いと反省をしました。
賃貸物件は下調べが必須
賃料の安さは、貸主が安い賃料でも借りてほしい想いが表れています。例えば、事故物件やセキュリティに不安がある、建物が古い、危険な立地に建っているなどその理由は様々です。また、家賃が安ければ不動産管理手数料が安く、サービスの質や範囲が狭い評価の低い管理会社が運営していることもあります。契約を決める前の下調べは必須です!昔から仲介会社の「いい物件ですよ」「人気物件で他に決まってしまう」の嘘を信じてはいけないのは当然ですが、今は管理会社が変わるタイミングで住んでいる物件の価値を調べなおすことも必要な時代なんだと思います。